三界の狂人は
狂わせることを知らず
四生の盲者は
盲なることを識らず
生まれ生まれ生まれ生まれて
生の始めに暗く
死に死に死に死んで
死の終わりに冥し
祗園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
娑羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらはす
おごれる人も久しからず
唯春の夜の夢のごとし
たけき者も遂にはほろびぬ
偏に風の前の塵に同じ
此の世は常の住みかにあらず
草葉に置く白露
水に宿る月よりなほはやし
金谷に花を詠し
栄花は先立って無常の風に誘わるる
南楼の月をもてあそぶ輩も
月に先立つて有為の雲に隠れり
人間五十年
化天の内をくらぶれば
夢幻のごとくなり
一度生を受け滅せぬ者の有るべきか
七年の病なければ
三年の蓬も用いず
雲無心にして岫をいずるもまたをかし
詩歌に心なければ月花も苦にならず
寝たき時は昼も寝
起きたき時は夜も起きる
九品蓮台に至らんと思ふ欲心なければ
八萬地獄に落つばき罪もなし
生きるまでいきたらば
死ぬるでもあらうかとおもふ